2025年6月13日
京都からサイクリングで奈良県明日香村の美しい自然と史跡を満喫【サイクリストにも嬉しい】
皆さんは、奈良県明日香村という地名をご存知ですか?奈良県中央部に位置する明日香村は「日本で唯一、全域が古都保存法対象地域に指定されている」という稀有な自治体です。2024年には世界文化遺産の国内推薦候補に「飛鳥・藤原の宮都」が選定されており、2026年の正式登録を目指しています。豊かな自然と由緒ある日本の歴史を体感できる明日香村ですが、人口減少率と財政力指数が過疎地の要件に該当するとして、2017年4月には過疎地域の指定を受けました。止まらない人口減少と少子高齢化を改善すべく、現在明日香村ではさまざまな施策を打っています。今回は、村の認知度向上と観光業の発展を目指す取り組みの一つである「明日香村まるごと博物館事業」と「レンタサイクル事業」の繋がりについて紹介したいと思います。大自然や歴史が好きな方はもちろん、「京都・奈良は何度も訪れているけれど、主要な観光スポットは行き尽くしたので新しい旅行プランが知りたい!」と思っている方も必見です。読了後はきっと、明日香村の美しい大自然と日本の歴史を満喫したくなるはずですよ。
読者の関心度
★★★★☆
4
※ 各読者がページに費やす時間によって決まります。
片倉 好敬
Katakura Yoshitaka
アベントゥーライフ株式会社
代表取締役 兼 CEO
奈良県明日香村とはどんな場所?歴史から紐解く魅力とは?
奈良県明日香村は、奈良盆地の東南部にある総面積24.1㎢の小さな村です。電車利用の場合、近鉄京都駅から約1時間15分、奈良駅から約1時間でアクセスが可能です。
飛鳥時代と呼ばれる6世紀末から7世紀にかけての100年間、日本の都が置かれていました。律令国家体制の磯が築かれたことから「日本のはじまりの地」とも言われています。天皇という称号や日本という国号が初めて用いられたのも飛鳥時代です。
村内には宮跡、寺院、古墳などの文化遺産が数多く存在しています。登録されている指定文化財は50以上。高松塚古墳、石舞台古墳など日本史の教科書に登場するような有名な古墳の所在も明日香村です。また、1400年間守られてきた棚田や里山、伝統的な日本家屋など、自然豊かな景観も楽しめます。
では、日本各地で再開発や新しいビル建設などが進む現代でも古き良き雰囲気が綺麗に残っているのはなぜでしょうか?
その理由に「明日香村特別措置法」の存在が挙げられます。押し寄せる都市化の波から歴史的風土を守るために古都保存法の特例法として1980年5月に制定されました。
明日香法は、歴史的風土の保存と生活環境整備の調和を目指す大切な法律であり、美しい自然や日本文化を守る重要な役割を果たしているのです。
奈良県明日香村の現状と課題。過疎地域に求められる地方創生実現
このようにたくさんの魅力が詰まっている奈良県明日香村ですが、2017年4月には過疎地域の指定を受けました。現在も人口減少や少子高齢化に悩まされています。明日香村ならではの貴重な歴史資源や景観を観光業や地域活性化に活かす「地方創生取組」の実現を目指して、近年新しい取り組みが計画されています。
【明日香村まるごと博物館プロジェクト】明日香の魅力を生かす、今注目の宿泊施設が続々開業へ。
地域活性化のために企画された新しい施策の一つが「明日香村まるごと博物館」です。
明日香村まるごと博物館プロジェクト
「寺社や文化財などの見どころが点在して存在する」という明日香村最大の特徴を生かし、村全体を屋根のない博物館に見立てるというユニークで新しいプロジェクトが始動しました。
村の中を「飛鳥京歴史ゾーン」「古墳ゾーン」「自然ゾーン」という3つのエリアに分類し、博物館を巡る感覚で、楽しく明日香村について知ってもらうことが狙いです。
2023年には長谷川コーポレーション建設の宿泊施設「ブランシエラ ヴィラ明日香」が開業しました。古民家の魅力を活かし、新しくリノベーションされたヴィラタイプの客室は元の間取りや昔の名残を残しつつ、ジャパンディで洗練された雰囲気。明日香村の自然や歴史ある雰囲気との調和は美しく、日本の趣を肌で感じることができます。
夕食は、地元で収穫した野菜を用いたご当地料理「飛鳥鍋」。朝食は、品数豊富な和のメニューをふんだんに使ったお弁当です。
客室はどのお部屋もとても広いので、家族旅行やにぎやかな女子旅、のんびり大人な夫婦旅など、さまざまな世代や目的のニーズに応えます。
2026年を目途に星野リゾートの宿泊施設が村内に2か所オープンすることも決まっています。施設の詳細はまだ公開されていませんが、高い知名度と人気を誇る星野リゾートブランドの宿が世界文化遺産の認定に合わせてオープンすれば、旅行好きの間で必ず話題になるでしょう。
【明日香村まるごと博物館プロジェクト×レンタルサイクル】自然と一体になろう!
博物館を巡る感覚で村内の観光を楽しむ「」。村の名物観光手段「レンタサイクル」を利用すれば、さらに明日香村のことが好きになるはず…!
村内を観光する際、徒歩やタクシーを利用するのも良いですが、自分のペースでたくさん巡りたい方は自転車の使用をおすすめします。
明日香レンタサイクルを利用すると、自転車:1日1,200円、電動アシスト付自転車:1日1,700円、原付バイク:1日3,000円で借りることができ、200円の追加料金を支払えば乗り捨てや配車も可能です。(チャイルドシート付の自転車もラインナップに含まれています。)時間制限なくレンタルできるのは嬉しいですよね。
利用方法は簡単!来店予約は不要なので、直接営業所の受付に行き、申し込み代金を払うだけですぐにレンタルできますよ。(※原付バイクを利用する場合のみ免許証の提示が必要です。)
営業所は「亀石営業所」「石舞台営業所」「飛鳥駅前営業所」「橿原営業所」「高松塚営業所(団体のみ利用可)」の5か所に設置されています。
明日香村最大の魅力は美しい大自然。道路も広く、高さのある建物もないので開放感抜群です。畑や棚田の絶景を眺めながら風を切って走ると、まるで自然と身体が一体化するような感覚に…。自転車に乗って村を散策するだけでも楽しいので、明日香村に訪れた際はぜひ利用してみてくださいね。
ちなみに村内の道路は広く平担な道が多いものの、場所によっては急な坂道もあるので、体力に自信がない方は電動アシスト付自転車を選ぶことをおすすめします。
【明日香村まるごと博物館プロジェクト×EVトゥクトゥク】新しい形のレンタカーサービス
トゥクトゥクといえば「タイの観光に欠かせない交通手段」というイメージを持っている方も多いかもしれません。3人乗りの3輪バイクで、前輪が1つ、後輪が2つ付いています。自動車よりコンパクトな車体なので小回りが効き、ドアがないので風の心地よさを直接感じることができます。
EVトゥクトゥクのレンタルは、明日香村が観光二次交通実証実験として取り組んでいる新事業です。EVという名前の通り、二酸化炭素排出量はゼロなのでSDGsの実現にもつながります。観光客の利便性向上はもちろん、日本でEVトゥクトゥクをレンタルできる場所は限られているので、利用者に新しい付加価値を与える狙いもあります。
注意点としては、利用する際は免許証が必要なこと、取扱は「飛鳥駅前営業所」のみであること、走行できる地図上の範囲が限られているということです。コンパクトな車体ではありますが、急な傾斜がある道や狭い道や走行できません。詳しくは走行マップをご確認ください。価格は1日利用で11,000円、時間単位の貸し出しも可能ですよ。
EVトゥクトゥクは3人乗りなので。家族旅行や友人のグループ旅行にもおすすめです。走行ルートに制限があるとはいえ、行動範囲も広がるので長距離移動を考えている方にもぴったり。乗るだけでもとても楽しいので、ぜひ旅の非日常感を味わってみてください。
【明日香村まるごと博物館プロジェクト】おすすめ観光スポット
飛鳥時代を象徴する観光名所や文化遺産の数々は村の象徴です。しかし1日で全て回りきるのはかなり大変…。ということで、数ある名所の中から特に見て欲しいおすすめスポットを厳選して紹介します。
●石舞台古墳
石舞台周辺地区の中央に位置する日本最大級の古墳です。盛土が失われ、平らな天井石が露出している点が大きな特徴です。総重量約2300トンの巨石は間近で見るととても迫力があります。被葬者は不明ですが、蘇我馬子の墓ではないかと言われています。古墳の周辺は芝生広場になっており、四季折々の花が楽しめます。
●高松塚古墳
高松塚周辺地区の東に位置する高松塚古墳。色彩鮮やかな西壁の女子群像は特に有名なので、歴史の教科書などで目にしたことがある方も多いと思います。古墳の隣には高松塚壁画館が併設されているのでぜひ足を運んでみてくださいね。
●飛鳥寺
飛鳥寺は、596年に蘇我馬子の発願で建立された日本最古の寺院です。創建当時の伽藍は失われてしまいましたが、塔や金堂の磯石はそのまま残っています。再建された本堂には飛鳥大仏が安置されています。
寺の周辺では、春になると菜の花が、秋には彼岸花が咲き誇り、とても綺麗ですよ。
●橘寺と二面石
「聖徳太子誕生の地」とも言われており、太子建立七大寺の一つに定められている橘寺。境内では、前後に人の顔が彫られた石造「二面石」も見ることができます。
●亀石
明日香村の石造の中で最も有名なのが「亀石」と呼ばれる亀の形をした石造物です。作られた年月も不明で、その由来は謎に包まれています。ユニークな形が目を引く、飛鳥のシンボル的存在です。
●万葉文化館
日本最古の歌集「万葉集」をテーマにした博物館です。古代日本の文化を楽しく知り、学ぶことができます。館内にはCURRYON(カリオン)というレストランが併設されており、万葉集や明日香村の歴史をモチーフにしたオリジナルドリンクやスイーツを味わうことができます。写真映えするユニークなメニューがたくさんあるので、ぜひ休憩がてら足を運んでみてください。旬の野菜をたくさん使った、色鮮やかな野菜カレーもおすすめです。
●甘樫丘
明日香村の中心部にある標高148mの緩やかな丘です。頂上から眺める村の景色はとても美しく、心洗われます。4月上旬ごろには桜が開花し、見ごろを迎えますよ。
大自然や美しい歴史に触れてデトックス。時間に追われる生活や都会の喧騒を忘れ、ゆっくり贅沢なひとときを過ごしませんか?
美しい自然と日本の歴史を満喫できる奈良県・明日香村。たまには時間に追われる日常や仕事から離れ、大切な人と特別なひとときを過ごすのはいかがでしょうか。