2025年12月08日
軽井沢でジョンレノンの聖地巡り モビリティで旅するロックスターの軌跡
ジョンレノンの思い出とともに、万平ホテルやカフェなどの軽井沢スポットを巡る旅に出かけませんか? 数々の名曲を残した伝説的バンド、ビートルズのギタリストであるジョンレノン。日本人である妻・オノヨーコの影響もあり、ジョンレノンは多くの日本文化を愛していました。 俳句や禅、相撲などにも親しんだジョンレノンですが、彼が特別思い入れのある土地といえばやはり軽井沢です。 この記事では、電動自転車をはじめとするモビリティで来訪できるエリアから、ジョンレノンが愛した軽井沢のスポットをピックアップしていきます。
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片倉 好敬
Katakura Yoshitaka
アベントゥーライフ株式会社
代表取締役 兼 CEO
ジョンレノンのゆかりの地、軽井沢を巡るモビリティ旅
伝説のバンド、ビートルズのギタリストであるジョンレノン。彼の人生に欠かせない人物の1人が、1966年に出会った生涯のパートナー「オノヨーコ」です。
ジョンレノンと結婚した当時、オノヨーコは軽井沢に別荘を所有していました。それを機にジョンレノンは、1977~1979年の毎シーズンごとに、家族で軽井沢を訪れたことで知られています。
実際に当時は軽井沢各地でジョンレノンの姿が目撃されており、現在もさまざまなスポットが「ジョンレノンが訪れた聖地」として親しまれています。アーティストとしてだけではなく、平和活動家としても活躍したジョンレノン。モビリティに乗り込みながら、軽井沢で彼の生きた道を辿っていきましょう。
万平ホテル:格式ある老舗ホテル
「万平ホテル」
万平ホテルは、軽井沢初の「西洋式ホテル」として誕生しました。
ジョンレノンの軽井沢エピソードを語るために、まず欠かせないのが万平ホテルです。
軽井沢屈指の老舗ホテルとして有名な万平ホテルは、三島由紀夫や田中角栄をはじめとする数多くの著名人が訪れました。前身となる宿泊施設である『亀屋』は1764年に開業。外国人の宿泊客でも快適に過ごせるホスピタリティを取り入れながら、1894年に万平ホテルとして創業されました。
万平ホテルのカフェやショップは、宿泊客以外も利用可能です。重厚感のあるロビーや美しく輝くステンドグラスを眺めていると、ホテルが時代とともに刻んだ長い歴史を感じさせます。伝統の心地良さと、軽井沢の自然の息吹が調和する空間で、贅沢な時間を過ごしてみませんか。
ジョンレノンが愛したアップルパイを木漏れ日のカフェテリアで
正面入り口から館内に入ると、温かみのある木材や照明に包まれたロビーが広がります。ロビーの左手に広がるのが、ジョンレノンが度々訪れたとされるカフェテリアです。大きな窓からは眩しいほどの緑が広がり、清涼感あふれる空間でカフェメニューが楽しめます。
室内から景色を見渡す席はもちろん、木漏れ日を直接感じられるテラス席も大人気。カフェに来訪したらぜひ注文したいメニューが、ジョンレノンが愛したアップルパイとロイヤルミルクティーです。
ジョンレノンが初めて万平ホテルに訪れたのは1976年。以来毎年「アルプス間の128号室」に宿泊しながら、パイやティーを嗜んでいました(多くの著名人宿泊者は、自身の「お気に入りの部屋」を定めていたそうです)。カフェテリアではジョンレノンは奥の席を好んでいたとされ、店内にはジョンレノンの肖像が飾られています。
もともとロイヤルミルクティーはメニューには無かったようですが、ジョンレノンが直接注文したことで万平ホテルの定番メニューに。アップルパイはホテル内のショップでも購入でき、しっとりとした食感とリンゴの風味が絶品です。大切な人のお土産にもぜひいかがでしょうか。アップルパイのほか、伝統のフルーツケーキもぜひご賞味ください。
離山房:軽井沢に広がる雑木林が心地良いカフェ
「離山房」
軽井沢にゆかりのある作家、音楽家、芸術家、企業家など、多くの著名人に愛されるカフェです。
離山房(りざんぼう)は、軽井沢駅から約3.7kmの場所に位置する小さなカフェ。軽井沢ならではの清涼な空気が育んだ木々に囲まれた、暖かみのある風情が魅力のスポットです。
とくにテラス席は雑木林がすぐ間近に広がり、自然の生命力をひしひしと感じられます。店内全体が木材で造られており、メニューが運ばれるテーブルの木目からも、軽井沢が自然とともに生きる街であることを実感できます。
離山房に初めてジョンレノンが訪れたのは、1977年の晩夏。静かな立地や光景を気に入ったジョンレノンは、その後軽井沢に来るたびに、3年間にわたり夏の訪れとともに離山房に通いました。当時はまだ幼かった息子のショーン君を連れたジョンレノン夫妻は、Tシャツに短パン、草履といったカジュアルなスタイルで来店したそうです。
テレビや雑誌では見られない、リアルなジョンレノンの姿。今は亡き彼が、軽井沢で家族水入らずで過ごした記憶を、離山房の木々たちは覚えています。
ハンモックや東屋で過ごしたジョンレノンの夏休み
離山房でジョンレノンが好んだのは、店の奥の東屋エリア。東屋にはハンモックが備えられており、そこで親子で遊んだり昼寝をしたりと穏やかな時間を過ごしました。
ある時は、故郷リバプールで70万人を動員し、大勢の人々の前で脚光を浴びたジョンレノン。そしてある時は、軽井沢の豊かな自然に包まれたハンモックで、静かに微笑みながら微睡むジョンレノン。どちらも彼の本当の姿であることに変わりありません。今に受け継がれるエピソードは、彼が確かにそこに存在したことを教えてくれます。
ジョンレノンがお気に入りだった離山房のメニューは、軽井沢名物でもあるブルーベリーを使用したジュースでした。離山房特製のブルーベリージュースは、現在も多くの来訪者の舌を楽しませています。
またジョンレノンのみならず、数々の文豪も絶賛したアイスクリーム「ミノリヤ特製ロイヤルスウィートバニラアイス」もぜひ注文したいところ。「伝説の極上バニラ」と銘打たれたスイーツと、木々が織りなす緑の香りとのマリア-ジュを堪能しましょう。
榮林 軽井沢店:森の中で味わう本格中華料理
「榮林」
1961(昭和36)年7月から61年間続く名店。1本の長い丸太、クリ・ケヤキ・スギの木を組み合わせたログハウス調の造りが特徴です。
榮林(えいりん)は、東京・神楽坂に本店を構える本格中華料理屋です。本店以外に唯一展開している店舗が、軽井沢駅から1kmほどの場所に位置する軽井沢店です。
本店はまさに本格中華料理屋といった荘厳な佇まいですが、軽井沢店は一転してログハウスのような素朴な雰囲気。店を外から見ると、雑貨屋や小さなカフェのようにも感じられます。しかし一歩中に入ると、格式高い伝統的な内装が広がります。
実際に食事をした人にしかわからない「秘密の隠れ家感」も、榮林の大きな魅力なのです。店内はコテージ風の母屋とお座敷のある別館で構成されており、軽井沢らしい涼やかな風を感じながら絶品の中華料理がいただけます。
発祥の店でいただく、ジョンレノンお気に入りの酸辣湯麵
軽井沢は古くからテニスが盛んなリゾート地。夏には国際テニストーナメントが開催されるほど、テニス文化が根付いたスポットです。ジョンレノンが初めて榮林に立ち寄ったのも、オノヨーコとのテニスの帰り道でした。
ジョンレノンが気に入ったのは、榮林の酸辣湯麵。現在も看板メニューとして人気ですが、実は榮林は酸辣湯麵の発祥の地でもあるのです。もともとは賄いとして提供されており、中国の酸辣湯を榮林が独自にアレンジしたのだとか。軽井沢の店舗でも、絶品の酸辣湯麵をいただけます。
中国で生まれた酸辣湯が、日本でアレンジされ酸辣湯麵になり、イギリス生まれのジョンレノンがいただく……。こう聞くと、料理が世界の文化をつなぐ架け橋であることを実感します。溶き卵や椎茸がたっぷり入った酸辣湯麵、酸味豊かな味わいを堪能しましょう。
入口近くのテーブルは、ジョンレノンが最後に食事をした思い出の場所。今でも写真が飾られており、彼を取り巻く記憶が受け継がれています。
フランスベーカリー:メディアでも有名な名店パン屋
「フランスベーカリー」
創業当時と変わらぬレシピで、味わい深いパンが楽しめます。
出典:軽井沢銀座商店会
フランスベーカリーは、1951年から続く旧軽井沢銀座のパンの名店。観光客はもちろん、地元の人々や別荘の住人たちからも長らく愛されています。テレビでも度々紹介されており、「軽井沢で有名なパン屋といえばここ」というイメージを持っている人も多いでしょう。
創業者である田村寅次氏は、かの万平ホテルにベーカーチーフとして招かれ、外国からの宿泊客に腕を振るっていました。当時の日本ではまだ洋菓子が浸透しておらず、同氏の提供するパンやスイーツは外国人に大変喜ばれていたとのことです。
上質なパンを作る秘訣は、澄んだ水と美しい空気。軽井沢の豊かな自然のなかで作られるパンはどれも評価が高く、店内のイートインでは焼きたての状態で味わえます。
当時の写真とともに過ごす、あの日のジョンレノンとの時間
フランスベーカリーの店内には、自転車を引くジョンレノンの写真が飾られています。黒いTシャツにサングラスというラフな服装のジョンレノン。セピア写真のなかで確かに生きていた彼の表情は、とてもリラックスしているように見えます。
ジョンレノンが軽井沢を愛した理由の一つには、地域の人々との絶妙な距離感もあったそうです。当時世界的スターだったジョンレノンは、どこに行ってもファンやパパラッチに囲まれていました。しかし軽井沢では、街中を歩いていても余計な詮索をされず、マイペースに過ごせていたとのこと。日常的に著名人が来訪するエリアだからこそ、地域住民もジョンレノンに過剰に反応せず、プライベートのひと時を暖かく見守っていたのでしょう。
フランスベーカリーでのジョンレノンのお気に入りは、看板商品でもあるフランスパン。香ばしい香りと焼き目が印象的で、外はパリパリ中はもっちりの人気メニューです。シンプルな味わいなので、オリーブオイルやジャム、チーズなどと一緒にいただくのもおすすめですよ。同じく人気メニューのアップルパイは、シナモンの風味が大評判。ぜひどちらの商品もお試しください。
ミカドコーヒー:ノスタルジックな喫茶店
「ミカドコーヒー」
レトロ感溢れる店内で、こだわりのコーヒーとモカソフトを堪能できます。
旧軽井沢に佇むカフェ、ミカドコーヒー。軽井沢駅前の大型ショッピングモールにも店舗がありますが、ジョンレノンたちが来訪したのは旧軽井沢にある店舗です。レトロな趣を残す小さな喫茶店で、初めて訪れた人でもどこか懐かしさを感じさせる雰囲気が魅力です。
一軒家型のドールハウスのようなアットホームな佇まいで、道路に面したカウンターではソフトクリームのテイクアウトもできます。もちろん、店内で座ってゆっくりといただくのも良いでしょう。
コーヒー豆のテイクアウトなら、オリジナルのハウスブレンドコーヒー「軽井沢セレクション旧軽通り」がおすすめです。上品な香りと酸味、さりげない苦みが贅沢なブレンドで、一口すすると軽井沢の旅の思い出が広がります。
ほろ苦いモカソフトは「父親ジョンレノン」の味
ジョンレノンは夏に軽井沢を訪れる際、ショーン君を幼稚園の夏季保育に送迎していたのだそう。ミカドコーヒーは幼稚園のすぐ隣に立地していることから、コーヒーやスイーツを楽しみながら息子の帰りを待っていたのでしょう。
実際にジョンレノンは、軽井沢のミカドコーヒーのモカソフトをテイクアウトしていたエピソードがあります。モカソフトは、口に含んだときに広がるほろ苦いコーヒーの香りが絶品。控えめな甘さで、食後の満腹な状態でもペロリといただけますよ。
ちなみに店の1番人気メニューは「モカゼリー」。底にプルプルのゼリーが入っており、上にはジョンレノンの愛したモカソフトがたっぷり乗っています。ゼリーは口の中ですぐに溶けるほど柔らかいとのこと。異なる食感と甘味・苦味のハーモニーをぜひ楽しんでくださいね。
軽井沢のレンタサイクルでモビリティをレンタルしよう
軽井沢はサイクリングの聖地。駅前周辺を中心に、さまざまなレンタサイクルショップが展開されています。
- 武田モータース
- サイクルメイトQ駅前店
- 関モータース
- 地産観光開発(株)
- ママダサイクル
- (株)軽井沢オートサービス
- 平島自動車板金塗装工場
- 軽井沢レンタサイクル Karuizawa RideTown.
- 軽井沢 駅直結 レンタサイクル BIGCLOUD CYCLE BASE
- 白ネコ サイクル
- 軽井沢レンタサイクル
- (株)片山モータース
- レンタサイクル 市村輪店
各ショップごとに、取り扱うモビリティの種類や返却時間などが異なります。軽井沢はコンパクトな街なので一般的な自転車でも十分周れますが、万平ホテル近辺などは緩やかな坂道もありますので、体力に不安があれば電動自転車をレンタルすると安心です。ショップによっては、本格的なロードバイクを貸し出していることもあります。
作品に秘められたメッセージを軽井沢で感じる旅
軽井沢の避暑地としての素晴らしさは、外国人の口コミによって世界に広まりました。きっかけは、1人のカナダ生まれの宣教師です。1886年当時、彼が軽井沢を「屋根のない病院」と称えたことを機に、現在は国際的な保健休養地として親しまれています。
清浄な空気、穏やかな気候。四季折々の景色に、涼やかな風。自然を活用した食べ物に、降り注ぐ木漏れ日や小鳥たちの声。ただそこで呼吸をしているだけで、体の内側から美しくなっていくような場所――軽井沢は、まさに自然の恵みがもたらした天然の療養施設のようです。
悲劇的な死を遂げる直前まで、愛と平和を訴える楽曲を製作していたジョンレノン。アルバム『Plastic Ono Band』に収録された楽曲『Love』では、以下のような歌詞が歌われています。
愛は自由、自由は愛
愛は生きること、愛に生きること
愛とは、愛を必要とすること――
軽井沢を愛したジョンレノンは、スキャンダルやバッシングにも度々悩まさる人生を送ってきました。そんな彼が歌う「愛」についての楽曲では、彼が心の深い場所でのつながりを求めていたことが読み取れます。
愛のありかは人それぞれ異なるもの。しかしどのようなかたちの愛でも、それを正しく観測するためには、心が穏やかであることが求められます。ジョンレノンが親しんだ軽井沢は、まさに心と体の療養地。今となっては知る術はないものの、ジョンレノンにとって軽井沢は、自らの愛のかたちを感じ取れる貴重な場所の一つだったことでしょう。
ぜひこの機会に、モビリティを活用して軽井沢へ出かけてみませんか。ジョンレノンの辿った道を通じて、彼の歌う愛のかたちを追体験しにいきましょう。