2025年12月06日
みなとみらいを電動車椅子で楽しみつくす 気ままに過ごす横浜モビリティ日和
関東を代表するウォーターフロント地区、みなとみらい。横浜赤レンガ倉庫や中華街など、数々の観光スポットに恵まれたエリアです。 街の先進性を重視するみなとみらいは、車椅子ユーザーへのアプローチが充実していることも特徴的。 本記事では、電動車椅子で来訪できるみなとみらいのスポットをご紹介します。 「グルメも夜景も観光も諦めたくない!」。そんな電動車椅子ユーザーの皆様のお役に、少しでも立てれば幸いです。
読者の関心度
★★★★☆
4
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片倉 好敬
Katakura Yoshitaka
アベントゥーライフ株式会社
代表取締役 兼 CEO
みなとみらいモビリティ旅 電動車椅子ならではの強み
手動車椅子と比べ、少ない体力で長距離を移動できる電動車椅子。みなとみらいエリアにおける自立した移動は、体力面だけではなく精神的なストレスも軽減できます。
何といっても「現地で1人で気ままに旅を楽しめる」のが大きな魅力。小さな段差やスロープはもちろん、緩やかな坂道も、手元のジョイスティックやボタンで簡単に乗り越えられます。
リクライニング機能で、海をゆったり感じる
このエリアの醍醐味といえば、1年中楽しめる海の香りです。
春先の暖かな潮風、真夏の日差しを和らげる夏の潮風。涼しさと波がハーモニーを奏でるような秋の潮風、そしてホットドリンクを片手に感じる冬の潮風。どの季節にもそれぞれの心地良さがあり、訪れる度に情緒が磨かれる想いを抱きます。
電動車椅子の強みとして挙げられるのが、モビリティに搭載されたリクライニング機能。「ここだ」と思った場所でリクライニングを倒し、瞼を閉じ、風を全身で感じられる時間……。受け取り方を変えれば、その贅沢は電動車椅子ユーザーならではの特権ともいえます。
電動車椅子で登れる坂道の角度は?
みなとみらいは神奈川屈指の坂道が多いエリア。立地面の特徴から来訪を控えている方も多いかと思います。
電動車椅子が登れる坂道の角度は「10度(勾配約17.6%)」となっています。イメージしやすい角度としては、大型スーパーの自走式立体駐車場の坂道が約10度です。
自然エリアに多い急激な坂道は難しいものの、商業エリア内であれば問題なく来訪できるスポットも多く、介助者がおらずともレジャーを満喫できます。
みなとみらい定番の観光スポット バリアフリー充実が魅力
「横浜赤レンガ倉庫」
明治時代、政府によって「横浜税関新港埠頭倉庫」として建設された横浜赤レンガ倉庫。現在1号館は文化施設、2号館は商業施設として展開されています。
出典:横浜赤レンガ倉庫1号館
1.横浜赤レンガ倉庫
横浜赤レンガ倉庫は、バリアフリー対策が充実したみなとみらいの定番スポット。明治時代に建設された、歴史的な価値が高いレンガ造りの建物です。都会的なエリアですが海の目の前ということもあり、商業施設としての賑やかさと自然の心地良さを同時に感じられます。
対してショップはトレンドを感じさせるテナントも多く、過去と現在のつながりを感じられるのが魅力。バリアフリートイレはもちろん、案内サインがわかりやすいのもうれしいポイントです。
2.横浜イングリッシュガーデン
日本にいながら、本格的な英国庭園の雰囲気を楽しめる
横浜イングリッシュガーデン。四季折々の花が咲き誇り、季節ごとにさまざまなイベントが開催されています。
とくに2,000種を超えるバラたちは大きな見どころ。旬となる春と秋には、その美しさを一目見ようと多くの観光客が訪れます。メインとなる通路は横幅が広く、車椅子でも周囲の空間を気にせずに楽しめます。
隣接する施設にバリアフリートイレも完備され、すべての来訪者が安心して周遊できるよう配慮されているスポットです。とくに、緑が生い茂る『ローズ・トンネル』は必見!バラだけではなく、夏には風鈴、冬にはオーナメントなどが飾られるんですよ。
3.横浜ランドマークタワー スカイガーデン
横浜ランドマークタワーは、みなとみらいを象徴する超高層複合施設。展望フロアである『
スカイガーデン』は、車椅子でも来訪可能です(車椅子専用スペースもあり)。館内には車椅子専用のエレベーターやトイレも設置されており、ランドマークタワーから展望フロア、ショッピングセンターに直接アプローチできます。
スカイガーデンの高さは地上69階の273m。晴れた日には遠くに富士山が見え、日没に染まる街を一望できます。同フロアにはカフェも併設されており、夜景を眺めながら食事をいただくのもおすすめです。
みなとみらいグルメ 食べ歩きやテラス席も堪能!
1.横浜中華街
日本最大級の規模を誇るチャイナタウンである
横浜中華街。地域を代表する観光地の一つであり、600軒以上の中華料理店や土産物店、雑貨店などが並びます。
坂道がほぼ無いため電動車椅子でも十分楽しめるだけではなく、従業員の電動車椅子ユーザーへの理解が深いエリアとしても知られています。以下に、車椅子で入店可能な飲食店の例を記載します。
- 景珍楼 新館 大通り店
- 金香楼
- 中華街香港大飯店
- 小籠包専門店 七福
- 王府井酒家 など
車椅子の入店が可能な店が多い点も魅力ですが、特筆すべきはやはり食べ歩き文化。入店せずともみなとみらいのグルメがたっぷり楽しめるのは中華街ならではの強みです。
2.THE WHARF HOUSE YAMASHITA KOEN
食後には、テラスに設置された足湯スペースも利用可能。肌寒い季節でも、温かな足湯に浸かれば身も心もポカポカに。足湯スペースに飲み物を持ち込めるのもうれしいですね。
食後はコーヒーを飲みながら、風景を見つつ足湯で食休み……なんて、とっても素敵な休日だと思いませんか?屋外のテラス席は紫外線対策もバッチリ。直射日光がほぼ当たらない造りになっているため、真夏の利用でも安心感があります。
3.キハチ(高島屋横浜店)
館内全体のバリアフリーが充実している高島屋横浜店。レストランフロアも車椅子で安心して移動できます。館内のバリアフリートイレの数も多く、大手百貨店ならではの安心感があります。
とくにおすすめしたいスポットは、解放感と高級感が両立されたイタリアンレストラン『
キハチ』。各種スイーツやソフトクリームが有名なキハチですが、スペシャルなコース料理も絶品なんです。みなとみらい旅の〆にピッタリな、特別感あふれるメインとデザートはいかがでしょうか。
先日中華街に来訪した際、実際に車椅子に乗った方が食べ歩きを頼んでいる姿を目にしました。路面店の店員さんは何も焦る素振りもなく、すぐにカウンターから出て商品を受け渡しされていて、車椅子ユーザーへの対応に慣れているご様子が伺えます。
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カルチャー施設 みなとみらいの文化に触れる時間
「日本丸メモリアルパーク」
アリーナ広場や芝生広場は、イベントや撮影などでも利用されています。
1.日本丸メモリアルパーク(帆船日本丸・横浜みなと博物館)
日本丸メモリアルパークは、重要文化財『帆船日本丸』や、歴史が学べる施設『横浜みなと博物館』が一体となったスポットです。帆船日本丸は、車椅子で最上甲板を見学可能。船内は段差構造のため残念ながら見られませんが、スロープで行ける甲板からの景色はぜひチェックしましょう。
横浜みなと博物館は、「歴史と暮らしのなかの横浜港」をテーマにした博物館。みなとみらいに関連する資料の常設展示や、アートミュージアムなどを見学できます。スロープやエレベーターつきで、電動車椅子でも安心して回れます。
2.横浜税関資料展示室
横浜税関資料展示室は、通称『クイーンの広場』と呼ばれる入場無料の展示施設です。開港以来の横浜の歴史や、貿易の変遷などを学べます。
バリアフリー対応で、車椅子ユーザーにも優しいスロープがお出迎え。貿易や関税などの歴史資料がズラリと並んでおり、時間を忘れるほど見入ってしまいます。なかには大麻や覚醒剤など、普段は触れることのない「密輸」に関する資料も。無料とは思えない情報量に驚かされるはずです。
3.原鉄道模型博物館
鉄道好きなら死ぬまでに一度は訪れたいのが、みなとみらい地区の
鉄道模型博物館。「日本一の鉄道模型収集家」といわれる原信太郎氏が集めた、貴重な鉄道模型たちが展示されています。
同氏は模型の製作者としても知られており、日本のみならずアメリカやヨーロッパなど世界中の車両を忠実に再現しています。膨大なコレクションや作品が並ぶ空間は、鉄道に興味を持たない人でも息を呑む迫力です。まるでその時代、その場所にタイムスリップしたかのような臨場感を、ぜひ味わってみてくださいね。
館内はバリアフリーとして段差のない通路も充実しており、すべての電動車椅子ユーザーが利用しやすい施設です。
みなとみらいの乗り物レジャー 車椅子でも乗れるアクティビティ
1.観光周遊バス『あかいくつバス』
地区の観光周遊バス、通称『
あかいくつバス』。桜木町駅の近辺を中心に、横浜赤レンガ倉庫や横浜中華街など、人気の観光スポットを巡回しています。電動車椅子ユーザーももちろん乗車可能で、移動時間を短縮できるとともに車窓から街並みを眺める事ができます。
横浜交通局のホームページでは、混雑具合をリアルタイムで確認できるため、円滑な乗り降りのためにぜひチェックしてみてくださいね。
2.ロープウェイ『ヨコハマエアキャビン』
ヨコハマエアキャビンは、桜木町駅前と横浜ワールドポーターズ前をつなぐ「日本初の都市型循環式ロープウェイ」。2021年に運行を開始し、桜木町駅と新港エリアへのアクセスが大幅に向上しました。
みなとみらいを見下ろす約5間分の空中旅行は、電動車椅子ユーザーでも利用可能です。チケット売り場や搭乗口までのアプローチも、基本的にフラットで安心。各駅舎にはバリアフリートイレも設置されています。またスロープなしで直接乗り込むタイプのゴンドラで、乗車時には一時停止してもらえます。
乗車の際は介助者が1名必要ですが、1人で訪れた際は従業員さんが代わりに同乗してくださるとのことです。
3.シーバス(水上バス)
みなとみらいといえば海、海といえばシークルーズ。エリアにはさまざまなシーバスが停船しており、プログラムや時間帯にごとにさまざまな横浜の景色を堪能できます。工場夜景クルーズやイルミネーションクルーズなど、興味やシーズンに合わせた内容が選べるのも魅力です。
多くのシーバスではガイドさんが同乗し、周囲に見える景色や建造物の説明をしてくれます。基本的にエレベーターはないため、階の移動時はスタッフさんにお声かけするかたちになります。ただし船や乗り場によって設備が異なるため、利用の際は各運行会社ごとに確認しましょう。
事前に車椅子であることを伝えておくと、お互いに焦らず気持ちよく乗船できます。プランによっては、船に乗りながら紅茶やコーヒーをいただけることも!潮風に吹かれながらのティータイム、なんて素敵ですよね。
みなとみらいのバリアフリー情報は?
電動車椅子のみなとみらい旅の前には、『
横浜観光バリアフリー情報』を検索してみてください。こちらは横浜市観光協会が制作したサイトで、バリアフリー対応情報が総合的に記載されています。
移動ルート上のバリアフリー情報や、電動車椅子を前提としたモデルコースマップも充実。たとえば新港エリアを中心としたショッピングコースや、中華街をたっぷり楽しむコース、メインのエリアから少し逸れて新横浜方面を散策するコースなど、テーマや目的に沿ったコースも多数提案しています。
また横浜市内のホテルバリアフリー対応や、観光エリアに電動車椅子でアクセスするための方法などについても、まとめて記載されています。周辺エリアに宿泊するご予定の方も、ぜひご活用ください。
電動車椅子のみなとみらい旅で海・夜景・グルメのすべてをかなえる
みなとみらいは、都会と自然が織りなす観光都市。障がいの有無にかかわらず、すべての来訪者が楽しめるエリアとしての魅力にあふれています。
このエリアでは、電動車椅子はただの補助具ではありません。ユーザーの行動範囲を広げる「モビリティ」であり、観光を力強く支えるツールの一つなのです。
なめらかな歩行者デッキや、海沿いの広い遊歩道、段差の少ない商業施設。バリアフリー要素が充実した同エリアでは、移動そのものが旅の楽しさに変わります。移動がスムーズな電動車椅子であれば、海風を感じながらの散策や夕暮れの夜景、多彩なグルメなども、ストレスが少なく楽しめるでしょう。
「行ける場所を探す」から「行きたい場所に行く」へ。電動車椅子とともに、誰もが妥協しない旅をかなえましょう。