特定小型原付と、電動キックボードや自転車との違いを徹底解説

2023年の道路交通法改正で「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という新区分が登場し、電動キックボードや電動自転車との違いに戸惑う人も多いはず。この記事では、特定小型原付の定義から、他の乗り物との比較、必要な免許、交通ルール、注意点まで、交通ルールを守って安全に乗りたいあなたの疑問を解消します。

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記事の目次

  • そもそも「特定小型原付」とは?
  • 法律上の定義(道路交通法に基づく)
  • 特定小型原付と「原付一種」の違い
  • 特定小型原付の主な条件(一覧表付き)
  • 「特例特定小型原付」との違い
  • 電動自転車や原付と何が違う?わかりにくい分類を整理
  • 電動自転車(ペダルアシスト)との違い
  • ナンバー・ヘルメット・免許の要否まとめ
  • 特定小型原付の運転ルール
  • 夜間のライト・ナンバー登録・保険の義務
  • 違反するとどうなる?罰則や注意点
  • 違反点数や反則金の有無
  • 購入前に確認したいポイント
  • 安全性を高めるアイテム(ヘルメット・ライトなど)
  • 特定小型原付の今後と活用例
  • 法改正や技術進化の展望
  • 【まとめ】
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2023年の道路交通法改正で「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という新区分が登場し、電動キックボードや電動自転車との違いに戸惑う人も多いはず。

この記事では、特定小型原付の定義から、他の乗り物との比較、必要な免許、交通ルール、注意点まで、交通ルールを守って安全に乗りたいあなたの疑問を解消します。

そもそも「特定小型原付」とは?

「特定小型原付」とは具体的にどのような乗り物を指すのか、その定義から見ていきましょう。

法律上の定義(道路交通法に基づく)

特定小型原付は、2023年7月1日に施行された改正道路交通法によって新設された車両区分です。正式名称は「特定小型原動機付自転車」といいます。これは、これまでの原付一種(50cc以下の原動機付自転車)とは異なる、新しい位置づけのモビリティとして誕生しました。

その法律上の定義は、以下の特定小型原付の基準をすべて満たすものとされています。

  • 原動機が電動であること
  • 定格出力が0.60キロワット以下であること
  • 長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下であること
  • 最高速度が20km/hを超えないこと(走行中に最高速度の設定を変更できないこと)
  • 最高速度表示灯(緑色の灯火)が備えられていること(点灯・点滅により速度を識別できるもの)
  • AT機構がとられていること(クラッチ操作を必要としないもの)
  • 走行中に最高速度を変更できる装置がないこと(特例特定小型原付は除く)

これらの条件を満たす車両は、新しい交通ルールのもとで運用されることになります。

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電動キックボードが対象

電動キックボードが主な対象で特に注目されているのが、電動キックボードです。これまで、電動キックボードは多くの場合、そのモーター出力や構造から「原動機付自転車」や「自動車」として扱われ、運転免許の保有やヘルメット着用義務、車道走行が必須でした。

しかし、今回の法改正により、上記の特定小型原付の基準を満たす電動キックボードは、より簡便なルールで利用できるようになりました。

もちろん、全ての電動キックボードが特定小型原付に該当するわけではありません。

上記の基準から外れる電動キックボードは、引き続き従来の原付や自動車の区分として扱われるため、注意が必要です。

特定小型原付と「原付一種」の違い

特定小型原付と、これまで一般的に「原付」と呼ばれてきた「原動機付自転車(原付一種)」とでは、多くの点で違いがあります。

項目

特定小型原付

原付一種

最高速度

20km/h以下(歩道走行時は6km/h)

30km/h以下

車体サイズ

長さ190cm以下、幅60cm以下

定義なし(排気量50cc以下)

動力

電動のみ

排気量50cc以下の内燃機関(ガソリンエンジンなど)または電動

免許

16歳以上なら不要

原付免許などが必要

ヘルメット

着用は努力義務

着用義務あり

走行場所

車道、自転車道、条件付きで歩道も可

車道のみ(自転車道は不可、歩道は不可)

二人乗り

不可

不可

車体登録

ナンバープレートの装着が義務付け

ナンバープレートの装着が義務付け

自賠責保険

加入義務あり

加入義務あり

税金(軽自動車税)

2,000円/年(地域により異なる場合あり)

2,000円/年(地域により異なる場合あり)

このように、特定小型原付は、原付一種に比べてより自転車に近い感覚で利用できるようなルール設計がされています。

特に、免許不要という点が大きな違いであり、これが特定小型原付が注目される理由の一つでもあります。

特定小型原付の主な条件(一覧表付き)

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特定小型原付として認められるためには、前述の法律上の定義を満たす必要があります。

ここでは、具体的な条件を詳しく見ていきましょう。

最高速度20km/h以下(歩道モード6km/h)

特定小型原付の最も重要な条件の一つが、最高速度が20km/hを超えないことです。これは、アクセルを最大限開けても20km/h以上の速度が出ないよう、車両の構造上で制限されている必要があります。

さらに、特定小型原付には**「特例特定小型原付」**という区分があり、これは歩道走行を可能にするための機能を持っています。特例特定小型原付として歩道を走行する際には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 最高速度が6km/h以下であること
  • 最高速度表示灯を点滅させること(周囲に歩道走行中であることを示すため)
  • 車体の構造が歩道走行に適していること(歩行者に危害を及ぼす恐れのないもの)

これらの条件は、車両に搭載されたモード切り替え機能によって切り替えられるようになっています。歩道モードでは緑色の最高速度表示灯が点滅し、車道モードでは点灯することで、周囲の人がその車両がどのモードで走行しているかを判断できるようになっています。

長さ190cm以下、幅60cm以下

特定小型原付は、その車体サイズにも制限があります。具体的には、長さが190センチメートル以下、幅が60センチメートル以下でなければなりません。このサイズは、一般的な自転車よりも少し小さめか同程度のサイズ感であり、歩道や駐輪場での取り回しやすさを考慮したものです。

このサイズ制限は、車両が歩道や狭い場所を走行する際の安全性を確保するため、また、既存のインフラ(駐輪スペースなど)との整合性を図るために設けられています。

モーター出力、構造など特定小型原付の動力源は、電動であることが必須です。また、その定格出力は0.60キロワット以下と定められています。これは、一般的な電動アシスト自転車のモーター出力(0.25kW以下)よりも高く、原付一種のモーター出力(0.60kW以下)と同じ上限です。

さらに、運転操作に関する構造要件として、AT機構(オートマチックトランスミッション)がとられていること、つまりクラッチ操作を必要としない構造であることも条件です。これにより、運転操作が簡素化され、より多くの人が手軽に利用できるようになっています。

また、安全面では、制動装置(ブレーキ)や前照灯(ヘッドライト)、尾灯(テールランプ)、警音器(クラクション)、方向指示器(ウインカー)などの保安部品が、道路運送車両の保安基準に適合している必要があります。これらの部品が正しく機能することで、夜間や悪天候時でも安全に走行でき、周囲の交通に自車の動きを伝えることができます。

「特例特定小型原付」との違い

先ほど少し触れましたが、特定小型原付には「特例特定小型原付」というサブカテゴリが存在します。これは、特定小型原付の条件に加え、歩道走行モードへの切り替え機能を持つ車両を指します。

項目

特定小型原付

特例特定小型原付(歩道走行時)

最高速度

20km/h以下

6km/h以下

走行場所

車道、自転車道

車道、自転車道に加え、歩道も可

最高速度表示灯

常時点灯

点滅

その他

歩道モードへの切り替え機能は不要

歩道モードへの切り替え機能と、それに伴う表示灯の切り替え機能が必須

特例特定小型原付は、条件を満たせば歩道を走行できるという点で、通常の特定小型原付と大きく異なります。

ただし、歩道走行時には歩行者優先が徹底され、最高速度も歩行者の速度に合わせて6km/hに制限されるため、その特性を理解しておくことが重要です。

電動自転車や原付と何が違う?わかりにくい分類を整理

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特定小型原付について詳しく見てきましたが、街中には似たような見た目のモビリティが他にもあります。

電動自転車や原付、自転車との違いを明確にし、それぞれの分類を整理していきましょう。

電動自転車(ペダルアシスト)との違い

まず、よく混同されがちなのが「電動アシスト自転車」です。電動アシスト自転車は、あくまで自転車であり、モーターはあくまでペダルを漕ぐ力を補助するためのものです。

項目

特定小型原付

電動アシスト自転車

動力源

電動モーターのみで自走可

電動モーターはペダルを漕ぐ補助のみ(自走不可)

最高速度

20km/h以下(自走)

24km/hまで補助(漕ぐ速度による)

車体サイズ

長さ190cm以下、幅60cm以下

自転車の範囲内

免許

16歳以上なら不要

不要

ヘルメット

着用は努力義務

着用は努力義務(改正道路交通法による)

走行場所

車道、自転車道、条件付きで歩道も可

車道、自転車道、歩道(自転車通行可の表示がある場合)

ナンバー

必要

不要

自賠責保険

加入義務あり

不要

最大の違いは、特定小型原付がモーターのみで自走できるのに対し、電動アシスト自転車はあくまで「人力+補助」であるという点です。

そのため、特定小型原付にはナンバープレートの装着義務や自賠責保険への加入義務がありますが、電動アシスト自転車にはありません。

  • 自転車・電動キックボード・原付・ミニバイクとの比較表

特定小型原付以外にも、様々な電動モビリティやバイクが存在します。それぞれの主な特徴を比較して、その違いを明確に理解しましょう。

項目

自転車

電動アシスト自転車

特定小型原付

原付一種(50cc以下)

ミニバイク(125cc以下)

動力源

人力

人力+電動補助

電動のみ

内燃機関/電動

内燃機関/電動

最高速度

人力による

24km/hまで補助

20km/h以下

30km/h以下

60km/h以上

免許

不要

不要

16歳以上なら不要

原付免許など

小型二輪AT/MTなど

ヘルメット

努力義務

努力義務

努力義務

義務

義務

走行場所

車道、自転車道、歩道(条件付き)

車道、自転車道、歩道(条件付き)

車道、自転車道、歩道(条件付き)

車道のみ

車道のみ

ナンバー

不要

不要

必要

必要

必要

自賠責保険

不要

不要

義務

義務

義務

車検

不要

不要

不要

不要

不要(一部例外あり)

税金(軽自動車税)

なし

なし

2,000円/年

2,000円/年

2,400円/年

この表を見れば、特定小型原付が、自転車と原付の間に位置する、新たな車両区分であることがよく分かります。

特に「免許不要」という点が、他の電動モビリティと大きく異なる特徴です。

ナンバー・ヘルメット・免許の要否まとめ

特定小型原付を運転する上で、特に気になるのがナンバープレートの有無、ヘルメット着用義務、そして運転免許の要否でしょう。

  • ナンバープレート:必要
    特定小型原付は、公道を走行するために市区町村へのナンバープレートの登録が義務付けられています。登録後、交付されたナンバープレートを車体の見やすい位置に取り付ける必要があります。ナンバープレートがない車両は公道を走行できません。
  • ヘルメット:着用は努力義務
    特定小型原付の運転者には、ヘルメットの着用が努力義務とされています。これは、自転車のヘルメット着用義務と同じ扱いですが、あくまで「努力義務」であり、罰則はありません。しかし、万が一の事故の際に頭部を守るために、ヘルメットの着用を強くおすすめします。安全のためには、常に着用する習慣をつけましょう。
  • 免許:16歳以上なら不要
    これが特定小型原付の最大の特徴とも言えるでしょう。特定小型原付は、16歳以上であれば運転免許が不要です。これにより、これまで原付免許を持っていなかった人でも、手軽に電動モビリティを利用できるようになりました。ただし、16歳未満の運転は禁止されており、違反した場合は罰則の対象となります。

これらの要件をしっかりと理解し、適切に対応することが、特定小型原付を安全かつ合法的に利用するための第一歩です。

特定小型原付の運転ルール

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特定小型原付は新しい車両区分であるため、その運転ルールもこれまでの乗り物とは異なる点が多くあります。

ここでは、特定小型原付を運転する上で知っておくべき基本的なルールについて詳しく解説します。

  • 免許の有無(16歳以上なら不要)

前述の通り、特定小型原付は16歳以上であれば、運転免許は不要です。これは、自動車や原付バイクのように、運転免許試験を受ける必要がないことを意味します。この「免許不要」という点が、特定小型原付が広く普及するきっかけの一つとなるでしょう。

しかし、免許が不要だからといって、交通ルールを知らなくても良いというわけではありません。自転車と同じように、道路交通法を遵守する義務があります。むしろ、モーターで自走できる分、自転車以上に安全運転への意識が求められます。

  • ヘルメット着用義務(努力義務)

特定小型原付の運転者には、ヘルメットの着用が努力義務とされています。罰則はありませんが、万が一の事故の際に頭部を守るために、ヘルメットを着用することを強く推奨します。最近では、デザイン性の高いヘルメットも増えているので、自分のスタイルに合ったものを選んで積極的に着用しましょう。


  • 走行可能エリア(車道・自転車道、歩道は条件付き)

特定小型原付は、基本的には車道を走行します。その際、自転車と同じく、原則として車道の左端を走行しなければなりません。

また、自転車道(自転車専用の道路標識がある場所)がある場合は、そこを走行することができます。

そして、特定小型原付の大きな特徴として、特例特定小型原付の基準を満たし、かつ特定の条件を満たした場合に限り、歩道を走行できる点が挙げられます。歩道走行の条件は以下の通りです。

  • 最高速度表示灯を点滅させ、6km/h以下で走行すること(歩道モードへの切り替えが必須)
  • 歩道は歩行者優先であり、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止すること
  • 自転車通行可の標識がある歩道であること

歩道走行中に歩行者がいる場合は、原則として一時停止するか、歩行者の通行を妨げないように徐行しなければなりません。特定小型原付は、車体がコンパクトであるとはいえ、歩行者にとっては思わぬ危険となる可能性があります。常に歩行者への配慮を忘れないようにしましょう。

なお、自転車通行帯(車道の左端に青いラインで示された帯)は、自転車専用の場所なので、特定小型原付も走行可能です。

夜間のライト・ナンバー登録・保険の義務

特定小型原付は、公道を走行する車両として、以下の義務も負っています。

  • 夜間のライト点灯義務:
    夜間やトンネル内、その他視界の悪い場所を走行する際は、前照灯(ヘッドライト)を点灯させ、尾灯(テールランプ)を点灯または反射器材を使用しなければなりません。これにより、周囲からの視認性を高め、事故防止に繋がります。
  • ナンバー登録義務:
    特定小型原付として公道を走行するためには、市区町村でナンバープレートの登録が必要です。購入後、必要な書類を揃えて手続きを行いましょう。登録が完了すると、ナンバープレートと標識交付証明書が交付されます。ナンバープレートは車両の指定された場所に取り付ける必要があります。
  • 自賠責保険加入義務:
    特定小型原付は、自動車や原付バイクと同様に、**自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)**への加入が義務付けられています。自賠責保険は、万が一の事故の際に、被害者の身体的な損害を補償するためのものです。加入していなければ公道を走行できません。未加入で運転した場合、罰則の対象となるだけでなく、事故を起こした際の損害賠償を自己負担することになります。

これらの義務を怠ると、罰則の対象となるだけでなく、大きな事故に繋がる可能性もあります。特定小型原付に乗る前には、必ずこれらのルールを確認し、遵守する準備をしましょう。

違反するとどうなる?罰則や注意点

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特定小型原付は免許が不要とはいえ、道路交通法が適用される車両です。ルールを破れば、当然ながら罰則の対象となります。ここでは、特に注意したい違反行為とその罰則について解説します。

無免許運転とみなされるケース

特定小型原付は16歳以上であれば免許が不要ですが、以下のような場合は「無免許運転」とみなされる可能性があります。

  • 16歳未満の者が運転した場合:
    特定小型原付は16歳未満の運転が禁止されています。16歳未満の者が運転した場合、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。また、保護者にも指導監督義務違反として罰則が適用される場合もあります。
  • 特定小型原付の基準を満たさない車両を運転した場合:
    例えば、最高速度が20km/hを超える電動キックボードや、モーター出力が0.60kWを超える車両は、特定小型原付ではなく、原付一種や自動車として扱われます。これらの車両を運転する際は、それぞれの車両区分に応じた運転免許が必要になります。もし免許を持たずに運転すれば、無免許運転として3年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い罰則が科されます。購入する際は、その車両が本当に特定小型原付の基準を満たしているかを必ず確認しましょう。

飲酒運転・二人乗り・信号無視など

特定小型原付であっても、一般的な交通ルールは厳しく適用されます。特に以下の違反行為は、大きな事故に繋がりやすく、重い罰則が科されます。

  • 飲酒運転:
    酒気を帯びて特定小型原付を運転することは、飲酒運転となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金(酒酔い運転の場合)など、非常に重い罰則が科されます。飲酒運転は絶対にやめましょう。
  • 二人乗り:
    特定小型原付は、その構造上、二人乗りは禁止されています。違反した場合、5万円以下の罰金が科される可能性があります。一人で安全に走行しましょう。
  • 信号無視:
    信号機の表示に従わない信号無視は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。また、安全運転義務違反として、さらに重い処分が下されることもあります。
  • 一時不停止:
    一時停止の標識がある場所で停止しない、または十分に安全確認をせずに通過した場合も、5万円以下の罰金が科される可能性があります。交差点などでの一時不停止は、重大な事故の原因となるため、確実に停止・安全確認を行いましょう。
  • 歩道での徐行義務違反・歩行者妨害:
    特例特定小型原付として歩道を走行する際、6km/hを超える速度で走行したり、歩行者の通行を妨げたりする行為は違反となります。歩道はあくまで歩行者優先です。歩行者がいる場合は必ず徐行し、安全な距離を保って通行しましょう。
  • 無保険運行:
    自賠責保険に加入せずに特定小型原付を運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに交通違反点数6点で免許停止処分(免許を保有している場合)となる可能性があります。自賠責保険への加入は必須です。

違反点数や反則金の有無

特定小型原付の違反も、自転車の違反と同様に、交通反則通告制度の対象外となる場合があります。つまり、青切符ではなく、赤切符が交付され、刑事罰(罰金など)の対象となる可能性が高いということです。

また、特定小型原付の運転者は、原則として免許が不要なため、違反点数制度の適用はありません。しかし、これは「何をしてもいい」ということではありません。悪質な違反を繰り返した場合や、重大な事故を起こした場合は、運転者講習の受講命令が出されたり、特定小型原付の運転が禁止されたりする可能性があります。

さらに、もし自動車や原付バイクの免許を保有している人が特定小型原付で違反した場合、その違反内容によっては、保有している免許の点数が加算される可能性もゼロではありません。例えば、飲酒運転やひき逃げなどの重大な違反は、他の免許に影響を及ぼす可能性があります。

特定小型原付は手軽に利用できる反面、その交通ルールと罰則を軽視してはいけません。安全に、そして合法的に利用するためにも、常に交通ルールを意識した運転を心がけましょう。

購入前に確認したいポイント

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特定小型原付の購入を検討しているなら、後悔のないように、いくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。

自治体によって違う走行ルール

特定小型原付に関する基本的な交通ルールは道路交通法で定められていますが、一部の地方自治体では、地域の実情に応じた独自の条例やルールを設けている場合があります。

例えば、特定のエリアでの速度制限や、通行禁止区間、駐輪場所に関する細かな規定などがあるかもしれません。購入を検討している、または利用を予定している地域の自治体のウェブサイトや交通安全に関する情報を事前に確認することをおすすめします。これにより、予期せぬルール違反を避け、スムーズに特定小型原付を利用できます。

保険加入の義務とおすすめの保険

前述の通り、特定小型原付には自賠責保険への加入が義務付けられています。これは、交通事故の被害者救済を目的としたもので、加入していなければ公道を走行できません。

自賠責保険は、主に人身事故による被害者のケガや死亡に対する補償ですが、対物賠償や運転者自身のケガはカバーされません。そのため、万が一の事故に備えて、以下の任意保険への加入も強くおすすめします。

  • 個人賠償責任保険:
    交通事故で相手の物(車、建物など)を壊してしまったり、相手に重傷を負わせてしまったりした場合の損害賠償を補償する保険です。自転車事故でも高額な賠償命令が出ることがあるため、特定小型原付でも同様のリスクがあります。火災保険や自動車保険の特約として付帯できる場合が多いので、ご自身の保険契約を確認してみましょう。
  • 傷害保険:
    特定小型原付の運転中に自分がケガをしてしまった場合の治療費などを補償する保険です。

これらの任意保険に加入することで、万が一の事故の際にも安心して対応できます。購入と同時に保険についても検討し、適切な補償を備えるようにしましょう。

安全性を高めるアイテム(ヘルメット・ライトなど)

特定小型原付を安全に利用するためには、車両に装備されている保安部品以外にも、積極的に安全性を高めるアイテムを活用することをおすすめします。

  • ヘルメット:
    着用は努力義務ですが、必ず着用しましょう。万が一の転倒や衝突事故の際に、頭部を保護する最も重要なアイテムです。自分の頭のサイズに合ったものを選び、正しく装着することが大切です。
  • 明るいライト・反射材:
    車両に付属のライトに加え、さらに明るいライトを取り付けたり、反射材を身につけたりすることで、夜間の視認性を高めることができます。特に暗い道や見通しの悪い場所を走行する際には、自分の存在を周囲に知らせることは非常に重要です。
  • プロテクター:
    転倒時の衝撃から肘や膝などの関節を守るプロテクターを着用することも、安全性を高める上で有効です。
  • グローブ:
    転倒時に手をついてしまうことが多いため、グローブの着用もおすすめです。手の保護だけでなく、ハンドル操作の安定性も高まります。
  • 目立つ服装:
    特に夜間は、明るい色の服や反射材付きの服を着用することで、遠くからでも自分の存在を認識してもらいやすくなります。

これらのアイテムを積極的に利用することで、特定小型原付での移動がより安全で快適なものになります。

特定小型原付の今後と活用例

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新しいモビリティとして注目されている特定小型原付は、私たちの生活や移動にどのような変化をもたらすのでしょうか。

シェアサービスの普及

現在、都心部を中心に電動キックボードのシェアサービスが普及し始めています。特定小型原付のルールが明確化されたことで、これらのシェアサービスは今後さらに拡大していくことが予想されます。

免許不要で手軽に利用できるため、観光客やビジネスパーソンが短距離移動の手段として利用したり、公共交通機関の「ラストワンマイル」(駅から目的地までの最後の移動)を補完するモビリティとして活用されたりするでしょう。自宅で車両を所有しなくても、必要な時に必要なだけ利用できるシェアサービスは、特定小型原付の普及を加速させる大きな要因となります。

通勤・観光・買い物での活用シーン

特定小型原付は、様々なシーンでの活用が期待されています。

  • 通勤・通学:
    電車やバスでは少し遠く、自転車では少し大変な距離の通勤・通学に最適です。電動アシスト自転車よりも手軽に、原付バイクよりもカジュアルに移動できるため、新しい通勤手段として選択肢の一つになるでしょう。
  • 観光:
    観光地での移動手段としても活躍が期待されます。広い敷地を効率的に巡ったり、レンタカーでは行きにくい小道を散策したりするのに便利です。風を感じながら移動できるため、観光の楽しみ方も広がるかもしれません。
  • 買い物:
    近所のスーパーマーケットへの買い物や、少し離れたお店への移動にも便利です。折りたたみ式の特定小型原付であれば、公共交通機関に持ち込んで移動することも可能です。
  • その他:
    ちょっとした移動や気分転換の散策、公園内での移動(許可されている場所)など、様々な場面でその手軽さと便利さを発揮するでしょう。

法改正や技術進化の展望

特定小型原付は、まだ新しい車両区分であり、そのルールや運用方法は今後も変化していく可能性があります。利用状況や事故発生状況に応じて、さらなる法改正が行われることも考えられます。

また、車両自体の技術も日々進化しています。バッテリーの軽量化や長距離化、AIによる安全運転支援システムの搭載、デザインの多様化など、今後も様々な改良が加えられていくでしょう。自動運転技術の進展によっては、将来的には特定小型原付を活用した無人モビリティサービスが登場する可能性もゼロではありません。

特定小型原付は、都市部の交通渋滞緩和や環境負荷低減にも貢献しうる、未来のモビリティとして大きな可能性を秘めています。

【まとめ】

2023年の道路交通法改正によって誕生した特定小型原動機付自転車(特定小型原付)は、私たちの身近な移動手段に新たな選択肢をもたらしました。電動キックボードを中心に普及が進む特定小型原付は、16歳以上であれば免許不要で利用できる手軽さが魅力です。

しかし、手軽さの反面、その交通ルールは従来の自転車や原付バイクとは異なる点が多く、正しく理解して利用することが非常に重要です。

  • 特定小型原付は、長さ190cm以下、幅60cm以下、最高速度20km/h以下(歩道モード6km/h)などの厳格な条件を満たす電動モビリティです。
  • 免許は不要ですが、ナンバープレートの登録と自賠責保険への加入は義務です。
  • ヘルメット着用は努力義務ですが、安全のために着用を強く推奨します。
  • 原則として車道や自転車道を走行し、特例特定小型原付であれば条件付きで歩道も走行できますが、歩行者優先を徹底しましょう。
  • 飲酒運転や二人乗り、信号無視などの交通違反は厳しく罰せられます。
  • 購入前には、自治体のルールや任意保険の加入、安全対策アイテムの準備も忘れずに確認しましょう。

特定小型原付は新しい交通手段として注目されていますが、正しく理解して乗ることが何よりも重要です。交通ルールや車両区分をしっかりと把握し、安全運転を心がけることで、あなたにとって便利で楽しい移動手段となるはずです。

もし、特定小型原付の購入や利用に関して、まだ疑問や不安な点があれば、お近くの警察署や自治体の交通安全担当部署、または販売店に相談してみるのも良いでしょう。

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